「大知波峠廃寺跡」
Kosai-shi, Shizuoka Pref. JAPAN - March 23, 2020
大知波峠廃寺跡(おおちばとうげはいじあと)、愛知県と静岡県の県境、標高340mの大知波峠に発見された平安時代中期の寺院跡。1989年から7年間にわたって発掘調査が行われた。国の史跡に指定されている。 |
以前から、何かの遺跡らしいと言われていた大知波峠で、1989年から7年間に渡って湖西市が発掘調査を行った結果、平安時代中期の寺院群の跡が見つかりました。これが「大知波峠廃寺跡」です。歴史書には一切記録が残っていない山岳寺院が発見されたのです。保存状態がよく、国の史跡に指定されています。
湖西連峰ハイキングの途中、廃寺跡を見学しましたのでレポートします。場所は大知波峠、山の上です。もよりの登山口は湖西市の「おちばの里親水公園」です。駐車場が完備しています。
公園から廃寺跡まで約1時間のハイキング。「豊川道」を登っていきます。
約1時間ほど登ったところで急に視界がひらけました。大知波峠です。この周囲が廃寺跡、木はすべて伐採され、広々とした草原です。
峠に出ました。「国指定史跡 大知波峠廃寺跡」の石碑や道標が建っています。峠を越えてそのまま向こうに下っていけば豊川稲荷です。ここは標高340m。
石碑の右に廃寺跡の詳しい説明板がありました。
説明板に記されている「復元図」と「全体図」を見やすくするため拡大撮影しました。
大知波峠の東斜面(湖西市側)に発掘された建物跡は13棟。仏堂が5棟、僧坊その他が7棟、山門が1棟だそうです。中央部に谷があって、堰き止める形で池が上下2段作られています。山門はその下側、つまり遠江側にあることから遠州の僧が興した寺院ということでしょうね。
上の「全体図」に書かれた記号と照らし合わせて御覧ください。写真はBの位置からAとEの方向(南向き)を眺めたものです。少しくぼんだところが池で、仏堂Aは二本並んだ杉の木がある平らなところ、仏堂Eはその左です。A手前の2段石垣がよく保存されています。Aは最も大きな仏堂で、大きさは16mx11mあり、四面庇の建物だったようです。
上側の池。
下側の池。山門は下側の池のさらに下です。
池からBの方向(北向き)を撮影しました。ハイカーが座っている平らなところに2棟の仏堂Bが建っていました。右後方は仏堂Cがあった場所です。
仏堂Cの場所を上から撮影しました。どの仏堂からもすばらしい景色です。比叡山延暦寺もそうですが、山岳寺院はどこも抜群の絶景地に建てられていますね。
千年という気が遠くなるような年数を経た現在まで、多くの遺構が残された「大知波峠廃寺跡」ですが、墨書きされた多くの陶磁器が発掘され、創建は10世紀中頃、廃れたのは11世紀末だそうで、およそ150年もの間、多くの僧がここで修行を積んでいました。現時点で寺院名などは謎ですが、今後徐々に解明されていくことを期待します。
仏堂Bの位置からふもとを眺めました。浜名湖から遠州灘まで見渡すことが出来ます。よく保存され整備されたおすすめの史跡です。
|
Copyright (C) 2020 ZauCats, All Rights Reserved.