「長楽館」は祇園・円山公園の南側に立つ洋館で、宿泊のできるおしゃれなレストラン・カフェです。建物の生い立ちは冒頭に説明したとおり、「煙草王」村井吉兵衛が建造した迎賓館です。通常は公開されていない3階の間が特別に公開されました。An early 20th century fusion of Japanese and Mestern architecture.
2階への階段を上がったところからさらに上に続く階段、カフェとして利用したとき3階は和室があると説明は受けていたのですが、「煙草王の居住スペースだったのかな」などと勝手に想像したところです。それが今回、中に入ってびっくり、居住スペースなんてものではありません。素晴らしい文化財です。
最初に案内されたのは階段の踊り場から入る中3階の茶室「長楽庵」です。中央の窓は、和室でありながら外側は洋風ですが妙にマッチしています。左右にステンドグラスがあり、左は桜、右はモミジ。なお青いカーペットは特別公開によって見学者が入るために敷かれたものです。通常は畳の部屋です。
この茶室は表千家にある「残月亭」を模したものといわれています。
桜のステンドグラス
もみじのステンドグラス
では3階の「御成の間」を見学しましょう。スカイのガイドさんが詳しく説明してくださいます。
大勢の見学者で賑わっていますね。3階は多くの和室があり、この部屋は特に豪華、接待の間として使われていました。3階はすべて畳が敷かれています。襖絵のテーマは列をなして飛ぶ白い水鳥です。部屋全体が統一されたテーマとなっています。
天井は村井家の家紋をあしらった豪華な折上格天井です。
格子のすべての角に村井家の家紋です。
そしてシャンデリアはバカラ社製。小さなガラス球がびっしり組み合わされています。
床の間と付書院、すべて豪華ですね。建物全体が京都市の有形文化財にしていまれています。ここには多くの署名人が訪れました。伊藤博文もその一人。その素晴らしさに感動し「この館に遊ばば、其の楽しみやけだし長(とこし)へなり」という言葉を残したそうです。そこから「長楽館」という名称が生まれました。
3階にはほかにも多くの畳の間があります。こちらは純和風。
調度品を飾った部屋もありました。
3階から階段下を眺めました。1階、2階は洋館、3階は和室であることがはっきりわかりますね。
これまで長楽館はカフェで利用したことがあります。その時は素晴らしい部屋の内装に驚かされました。部屋ごとに「貴婦人の間」、「鳳凰の間」など名前がついていて、名前にふさわしいしつらえがなされており、いずれもその質の高さに驚かされました。
今回公開された3階部分も期待に沿う内容、聞くところによると長楽館はその創設者が没後かなり荒れていた時期があったそうですが、前オーナーと現オーナーの努力もあって見事に蘇りました。
最後の三枚の写真は3階を見学後、帰路の途中に1,2階の部屋を撮影したものです。こんな立派なところで、しかも普通のレストラン・喫茶店と変わらない料金で食事やお茶ができるなんてオーナー様に感謝です。
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