女性が髪を整える時に日々お世話になる「櫛」。これにお礼をする祭りが安井金比羅宮において毎年9月の第4土曜日に行われます。2時からの神事に続いて3時からは古代から近代までの衣装とともにその時代の髪型を再現し、祇園の小路を練り歩く「時代風俗行列」も行われ、多くの観光客が見物します。
今年は25日の開催、神事には参加できませんでしたが時代風俗行列を詳細に写真撮影できましたのでご紹介します。安井金比羅宮の境内北側には「久志塚」(櫛塚)があります。本日はお供え物のほか、秋の花がたくさん飾られ、境内が華やかになっています。安井金比羅宮の参拝記事はこちら
使い古した櫛が奉納され、「お世話になりました」と供養されます。安井金比羅は祇園甲部や宮川町などの花街に近いため芸姑さんや舞妓さんが使用した櫛も奉納されます。
櫛に感謝するこの祭りは昭和36年に始まりました。当初は安井金比羅宮の氏子である南ちゑ氏を中心とする美容家によって始められ、翌年「久志塚」も建立されました。のち、時代風俗の着付けと結髪の正しい伝承を目的として「京都美容文化クラブ」が設立され、櫛まつり実行委員会を置いて運営されるようになったとのことです。
今回見物した場所は花見小路です。町並みの雰囲気は抜群ですが見物人が多く写真を撮りにくいのが難点ですね。中継/休憩地点の祇園白川を出発した行列は午後3時ごろ雅楽隊を先頭に花見小路にやってきました。
では、各時代ごとの衣装と髪型を写真でご紹介しましょう。
古墳時代は2タイプの衣装。前の方は埴輪でおなじみの角髪(みずら)という髪型、古墳時代の貴族男性のものです。以前は男性が行列に参加していたのですが、地髪でのこの髪型ができる男性はなかなか見つからないでしょうね。最近は女性が着用しています。後ろは上流階級の女性衣装。
天平時代の衣装はとてもカラフル。宮廷女性はみな乙姫様ですね。
平安貴族の代表的な女性衣装は「十二単」を期待してしまいますが、とても重くて歩けませんから(それにあまりにも高価)、こちらは男舞の「白拍子」の衣装です。
上流あるいは中流階級の女性の旅姿「壺装束」です。市女笠と虫の垂れ衣傘で覆われて髪型が見えません!(顔も見えません) 合理的に設計されたこの装束が、個人的には一番お気に入り。
桂女(かつらめ)です。白い布で頭部を覆う「桂包」が特徴。桂川で捕れた鮎を売り歩く姿です。
安土桃山時代の遊女スタイルだと思うのですが、間違っていたらごめんなさい。唐輪髷(からわまげ)に名護屋帯(なごやおび)です。
江戸時代になると、途端に女性の衣装はバリエーションが広がります。行列の人数も一気に増えました。もう、とても説明できません(汗)。
建仁寺の門前に皆さん勢揃い。道の反対側には撮影隊がズラリ。皆さん愛想よく笑顔でポーズを取ってくださいました。
「はい、ポーズ」
「うしろがつかえてるさかい、はよう前に進むよし。」
ちなみにこちらは江戸前期の衣装です。
約40名のこの行列に参加している皆さんは学生さんが多いのだそうです。また、参加資格は地毛で髪が結えることが条件。カツラは使いません。「京都美容文化クラブ」の皆さんによって各時代の代表的な髪型が再現されます。応募して参加できた皆さんは晴れ舞台ですね。
こちらはおまけ写真です。偶然その場を通りがかった本物の舞妓さん。普段着でお化粧もしていません。でも、着こなし方と地髪で結われた髪、歩き方、やはり何かが違います。
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