祇園祭「北観音山の山建て」撮影 2016年7月19日
Yamatate of KITA-KANNONYAMA, Gion Festival, Kyoto
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祇園祭(ぎおんまつり)北観音山(きたかんのんやま) 新町通の大型曳山の1つ。楊柳観音像(ようりゅうかんのんぞう)と韋駄天立像がご神体。くじ取らず。山建ては19日、曳き初めは20日。 |
「やぐらの組み立て」
後祭りの大型曳山のひとつ「北観音山」の山建ての様子をご紹介します。19日、会所前に到着した時は櫓(やぐら)の組み立てはほぼ終わっていました。
大型の山鉾の場合、まず最初に路上に四隅の柱を建てますが、その位置決めのための目印の四角い石が道路に4ヵ所埋め込まれています。また各木材にはどの場所で使うものなのかが墨で書かれていますので間違えることはありません。柱には横木となる貫、桁を差し込んでいき、抜け止めの楔を打ち込みます。
そして祇園祭の山鉾の象徴である、荒縄を用いた「縄がらみ」を2名一組で巻いていきます。一周巻くたびに木槌で縄を叩き、緩みの発生を防止します。この作業は大変な時間を要します。
「真松選び - 松取り式」
櫓が完成する頃、山の中央に立てる真松がトラックで到着です。見ると2本載っていますね。ひとつは北観音山のものですが、もう一つは隣の南観音山で使います。これから、どちらの松をどちらが使うか選別のイベント「松取り式」が始まります。
南北の観音山の役員さんが集合し、まずじゃんけんでくじを引く順番を決めます。くじ引きの結果、今年は南観音山が選択権を勝ち取りました。南の役員さんがあれこれ吟味して西側の真松が選ばれました。
選ばれなかった東側の松が北観音山の真松になりました。クレーンで降ろされます。車に残ったもう一つの松は南観音山に運ばれていきますが、長い松を荷台に乗せているため狭い新町通では方向転換が出来ません。トラックはバックで南観音山まで。その間、東西に交わる蛸薬師通は通行止めです。
「真木と真松をつなぐ」
真松は山から切りだされたままの状態です。これから松の木と真木(やぐらに差し込む柱、当然、松と真木は同じ太さになっています)をつなぐ作業に入ります。
まず、真松の長さ調整です。メジャーで測りながら余分な長さ部分をノコギリでスパと切り落としました。見ていて気持ちいい、よく切れるノコでしたよ。
真木のつなぎ目はななめにカットされています。これに合うよう真松も斜めにカットする必要があります。ここはかなり正確に測りますが、使う道具は大工さんのサシガネと墨糸。ノコギリとマサカリで斜めにカットしていきます。
マサカリを振り下ろしやすい角度に木の軸を回転させますが、切り役の人がみんなに指示します。「もうちょっと右に回して。少し戻す。はい、その角度でキープ!」 支え役の皆さんはそのあいだ、柱が回転しないようにみんなで必死に松を抑えてます。大変ですね。
最後にカットした表面をカンナがけ。ここは文明の利器「電気カンナ」を用いていました。
さあ、真木と真松、2本の柱をつなぎます。これだけ重量のあるものをどのようにしてしっかりつなぐのか興味ありましたが、その答えは鉄の輪とクサビでした。
鉄の輪と柱の隙間にビッシリとクサビを打ち込みます。さいごに抜け止めとして鉄の輪にあいた数カ所の穴に5寸釘を打ち込みます。
2本の柱の接合部分に麻縄を巻いていきます。全て巻き終わらないうちに、別の人が麻縄の上に荒縄を巻いていきます。二重巻き! これで強度OK!
「真木建て」の様子
いよいよ真木を櫓(やぐら)に取り付けます。これを人力で。櫓の中央には差し込む穴(真木受けのホゾ)が設けられていますが、おおきな真木をつまんでひょいと差し込んでくれる巨大ウルトラマンを呼べませんので、みんなで力合わせて 行っていきます。まず櫓を横倒しにして、次に真木を差し込みます。太いロープで引っ張って櫓を横倒ししますが、この作業には見物人も参加できるのです!!
櫓が回転する部分をアップで。車輪取り付け用の軸木を回転軸として仮に取り付けてあります。やぐらの柱の外側にはそれぞれ軸支えの木が地面に突き刺してあります。軸木は麻縄で縛ってありますが、ここに油をふりかけて回転させます。油を塗ったとしてもものすごい重量ですから、回転を始めるとギシギシと大きな音をたてます。間近で見ると大迫力ですよ。
音頭取りさんが「えんやらやー」と合図の声をかけ、全員で「えいっ」とロープを引くと、ぎしぎしと音を立てて櫓がこちらに傾いてきました。(私もロープ引きに参加。引き始める直前に撮影しました。)
横倒しになったところで真木を持ち上げて差し込みます。なお、櫓にはあらかじめ「大梃子」と呼ばれる仮のテコが取り付けられています。起こすときにはこれにロープを付けて反対側から引っ張ります。。
いよいよ櫓を起こしますが、もっとも力を要する作業です。「櫓倒し、真木の差し込みから櫓起」までの様子を動画撮影しました。大きな画面でご覧なりたい方は、全画面(画像右下のマークをクリック)に切り替えてご覧ください。
真松が取り付けられ「山」らしくなりましたね。この後の作業は、大梃子の取り外し、石持(車輪を取り付けるための、もっとも重量のある一対の木材)の取り付け、舞台(お囃子方が乗るところ)の組み立て、屋根の組み立て、懸装品の取り付け、最後に車輪の取り付け、と続きますが、すべて終わるのは明日(20日)の午後。そして午後3時からは「曳き初め」を行います。
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