2017年の前祭、山鉾巡行の様子をご紹介します。9時少し前、なんとか先頭の長刀鉾にたどり着こうと四条烏丸交差点に向かって必死に歩いていますが、歩道は同じ思いの見物人でいっぱい。思うように前に進めません。
残念ながら出発時刻までに先頭の長刀鉾のところまでたどり着けませんでした。撮影場所はエクセルシオールカフェの前です。なお今年の撮影はHidekunです。1番 長刀鉾、2番占出山、3番孟宗山は行ってしまったあと(泣)。4番「霰天神山」からの紹介です。
霰天神山(あられてんじんやま) 永正年間(1504-)、大火があった時、急にあられが降り、たちどころに火は収まったが、この時小さな天神が降りてきたことがモチーフとなっている。
函谷鉾(かんこぼこ) テーマは中国古代史話、孟嘗君の故事に基づく。中国の戦国時代、斉の孟嘗君は函谷関で家来の鶏の鳴き真似をさせて門を開かせて難を逃れた。
「大きな鉾がギシギシときしませて目の前を転がっていくのには感動しました。」(Hidekun談。京都生活が長いものの巡行を目前で見学するのは初めてでした。)
伯牙山(はくがやま)。古代中国の琴の名手「伯牙」がテーマ、友人の訃報を聞き、まさに斧で琴を打ち壊そうとする故事を再現している。
四条傘鉾(しじょうかさほこ) 1987年、実に117年ぶりに巡行に復帰した。古い形を残す傘鉾。祇園唐草模様の大傘と子供たちによる棒振りが特徴。
芦刈山(あしかりやま) 謡曲「芦刈」がモチーフ。訳あって妻と離れ離れになった男が落ちぶれて難波の浦で芦を刈っていたところ3年ぶりに妻と再会、相携えてめでたく都に戻るというストーリー。
月鉾(つきほこ) 鉾頭に新月(三日月)をかかげ月読尊を祀る鉾。すべての山鉾の中で最も大きく最も重い。
山伏山(やまぶしやま) ご神体は修験道・山伏。八坂の塔が傾いた時、法力で直した時の浄蔵貴所の大峯入りの姿をあらわしている。
油天神山(あぶらてんじんやま) 祭神は天神・菅原道真。この地にあった公家・風早家に天神が祀られていたが、それが由来との言い伝えがある。勧請の日が丑の日だったため「牛天神山」とも呼ばれる。
太子山(たいしやま)。聖徳太子が四天王寺を建立するために良質の杉材を求めて山に入り、見つけた霊木で六角堂を建立した故事にまつわる。ご神体は少年時代の聖徳太子・真木はこの山のみ杉を使用。
鶏鉾(にわとりほこ) 古代中国、堯の時代、平和が続き、訴訟用の太鼓(諫鼓)も鳴らされることがなく鶏が巣を営んだという故事がテーマ。稚児人形の冠は中央に鶏を載せる。見送は「イリアス」がテーマの16世紀ベルギー製。
木賊山(とくさやま)。世阿弥の謡曲「木賊」がテーマ。我が子を人さらいにさらわれて、山里でトクサを刈る老翁がご神体。左手にトクサ、右手に釜を持つ。
綾傘鉾は、現在の山鉾の形態が完成する前の古い形を残す鉾。応仁の乱以前から存在していた。大きな傘と棒振り囃子で構成される。18世紀以降、棒振り囃子は壬生六斎念仏保存会の人たちによって演じられている。赤熊をかぶった棒振りが1名、対面する二人の太鼓方(1名が打ち、1名が太鼓を支える)で囃す。
蟷螂山(とうろうやま) カマキリは漢字の宛字として「蟷螂」と書くが、これをとうろうと読む。別名カマキリ山。子供たちに一番人気の山。屋根の上の大きなカマキリが羽を広げ鎌を振る姿はカワイイ。自分の力をわきまえず大敵に向かう勇猛さをたたえた君子の故事による。
菊水鉾(きくすいこ) 1864年の兵火で消失したが昭和27年に復興。菊の露を飲んで700歳の長寿を保った謡曲「菊慈童」がテーマ。町内にある金剛能楽堂の「菊水井」にちなんで名付けられた。
白楽天山(はくらくてんやま)。中国の唐時代、詩人の白楽天が西湖の北の山を訪れた際、道林禅師に仏法の大意を問う場面がテーマ。ご神体は白楽天と禅師の二体。前懸は16世紀に制作されたトロイ戦争を描いたタペストリー。
以前からしばしば海外からの参加者を見かけますが、今年の白楽天山は、担ぎ手全員が海外からの方のようですね。
郭巨山(かっきょやま) 「郭巨釜掘り」の故事による。貧困のために母と子を養えなくなり子を山に捨てようとした。地を掘ったところ黄金が出てきて母子を養うことが出来たという。山には珍しく日覆い障子の屋根がある。
保昌山(ほうしょうやま)。この山のテーマは興味深い。平安時代、和泉式部に恋した丹後守・平井保昌が御所・紫宸殿に忍び込み梅の花を一枝折って持ちだそうとしたところ、警備兵に見つかってしまい矢を放たれながらも逃げ帰ったという話がテーマ。別名「花盗人山」。
放下鉾(ほうかほこ) 真木のなかほどの「天王座」に放下僧の像を祀るのに由来する。鉾頭は日・月・星の三光が下界を照らす形を表す。前祭の21番目、くじ取らず。
岩戸山(いわとやま) 「天の岩戸」の神話がモチーフ。伊弉諾尊、天照大神、手力男命の3体の人形が飾られる。
船鉾(ふねほこ、ふねぼこ) 祭神は神功皇后と磯良・住吉・鹿島の三神。身重で男装し新羅出兵の「日本書紀」が由来。船鉾は出陣の船、一方、大船鉾は凱旋の船。
前祭の最後尾です。今年は雨にも降られず無事に行われました。暑さは別にして。沿道の人出は2016年より3万人多く、22万人だったそうです。
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