祇園祭2019「後祭の山鉾巡行」その1

ATOMATSURI, Gion Festival 2019, Kyoto
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祇園祭(ぎおんまつり)。八坂神社の祭り、7月1日から1ヶ月かけて行われる。京都三大祭りのひとつ、あるいは日本三大祭りのひとつ。平安初期、京都に蔓延した疫病を鎮めるため、卜部日良麿が当時の国の数である66本の矛と神輿3基により牛頭天王を祀って御霊会を行ったのがその起源といわれる。970年から毎年行われ、途中の中断もあるが現在まで続いている。

7月24日、祇園祭の後祭・山鉾巡行が予定通り9時半にスタートしました。今年は例年になく長い梅雨で、まだ梅雨明け宣言が出ていませんが今日は日差しもあって30度以上の真夏日。猛烈な暑さの中、今年は四条通のお旅所付近で見学しましたので、巡行の様子を写真でご紹介します。今回は通りの南北からカメラ2台で撮影、完璧を目指しましたが、さあ、いかがでしょうか。

gion-prompt.jpg 2019年後祭 山鉾巡行

午前11時、パトカーに先導されて後祭の巡行列が御旅所前にやってきました。たった今、花傘巡行の最後尾が行ったばかりです。沿道の見物客の皆さん、暑い中、連続の長時間見学はたいへんですね。忍耐、忍耐!

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御旅所前にはテントが張られ、八坂神社の神職の皆さんや祭りを主催する関係者がテント内に座っておられます。各山鉾町の保存会の役員の皆さんは御旅所のテントの前までやってきた時、17日からこちらの御旅所に渡って来ておられる祇園社(八坂神社)のご祭神・牛頭天王(素盞嗚命)に,「二礼二拍手一礼」のお参りし、神職から玉串で清めてもらいます。

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gion-prompt.jpg「1番 橋弁慶山」

後祭1番は「橋弁慶山」です。「くじとらず」で、常に先頭と決まっています。記録によると、明応9年(1500年)、応仁の乱で中断していた山鉾巡行が復活し、くじ取り式が行われましたが、その際もくじを取らず「先の規定により先頭」とされたそうです。応仁の乱以前から先頭だったようです。なぜ先頭を行く権利を獲得したのか、その理由は不明だそうですが。

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橋弁慶山の由来は謡曲「橋弁慶」、牛若丸と弁慶が五条大橋の上で戦う様子を表したものです。山の上には五条大橋が再現されており、そこで牛若丸と弁慶が戦っています。

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左が黒い顔をした武蔵坊弁慶、右は片足下駄で橋の手すりの上に立つ牛若丸。

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胴掛(サイドを飾る綴織)は葵祭の様子を描いた「加茂祭礼行列図」です。円山応挙による下絵です。水引(胴掛の上の部分)は百子文様(からこもよう)。

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gion-prompt.jpg「2番 北観音山」

北観音山が入ってきました。大きな曳山です。重量は人が乗った状態で9.5トン、1353年に創建されたと伝わりますので歴史はすでに660年に達します。御神体として楊柳観音像と韋駄天像が乗っています。北観音山を守る山鉾町の「六角町」町内には三井家や松坂屋など、著名なスポンサーもあったためでしょうか、たいそう立派な懸装品で飾られていますね。

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大勢の曳き手によって引っ張られて移動します。これまで幾度となく巡行の様子は紹介してきましたが、今回は山鉾を動かす方々、音頭取(おんどとり)、囃子方(はやしかた)、曳き手(ひきて)、車方(くるまかた)、屋根方(やねかた)のそれぞれの役割をご紹介します。


「山を動かす人たちの役割」

曳山の前面に2名の「音頭取り」が乗っています。掛け声と扇子を振って全員に合図を送ります。その掛け声は「エンヤラヤー」。これを聞いた曳き手たちは一斉に綱を引くと「ギシギシ」と音を立てて山が動き出します。

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山鉾のお囃子は太鼓、鉦、笛の三種類の楽器によって演奏されます。演奏する方々を「囃子方」とよびます。およそ6畳ほどの広くない場所(囃子舞台)に「囃子方」がぎっしり乗り込んでいます。約40名! 扱う楽器によって太鼓方、笛方、鉦方と呼ばれます。進行方向にむかって右側は鉦方が6名が欄縁に腰掛けて演奏します。

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進行方向左側は笛方が8名。装飾布を腰からダラリ下げているのが目印です。そして、太鼓方は正面に2名がすわります。バチを振り上げている方が囃子方全体のリーダーだそうですよ。中ほどの空きスペースには交代要員の方が乗っています。

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ところで欄縁に座っている笛方のみなさんを下から見上げて「あぶなっかしいなぁ。急停止したり向きを変えたりしたとき落っこちないか心配。」と思う方は多いと思います。鉦方は左手で吊り紐を握っているので少し安全ですが、笛方は両手を使って笛を吹くので体を支える事ができません。命綱を付けているのでしょうか?

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山鉾は「音頭取り」の「エンヤラヤー」の掛け声で「曳き手」が綱を一斉に引いて動き出します。曳き手の仕事はこれだけ。山鉾の進行方向を微調整したり停止させたりするのは青いハッピを着た「車方」の皆さんです。山を停止させるときは台形の木の塊(カケヤという)を引きずっている方たちが車輪の前にすばやくカケヤを入れて強制停止させます。万一のときにも即座に停止できるよう、カケヤはつねに車輪の直前の位置で引きずっているのです。

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進行方向を微調整するときは、長い木の棒をすばやく車輪の下に入れて、テコの原理で前輪の進行の向きを変えるのです。広い通りだと何もしなくても真っすぐ進みそうな気がしますが、道路は通常、中央部分が高く両サイドに向かって低くなっていますので水平ではありません。ですので、進むに連れて徐々に道路端に寄っていくため常に微調整が必要なんだそうです。

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ここからはよく見えませんが、屋根の上には「屋根方」が4名乗っています。最も危険な場所ですね。広い通りを進行するときはほとんど仕事はありません。しかし新町通を通るときは大忙しです。屋根の角を建物や電線に当てないように調整します。

もし屋根が電柱に当たりそうになった時、屋根方は電柱をグイと押します。すると屋根全体が後ろに動いて電柱を避けることができます。曳山の屋根は真木に吊り下げられていて自由に動くんだそうです。アクロバチックな仕事でご苦労さまです。いちおう命綱を付けていますが。

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北観音山の背面です。曳き手は前方に引くだけでなく、後方に引く人もいるのです! 山を停止させる時、車方がストッパーで車輪の回転を強制的の停止させるのと同時に、この方たちは思い切り後方に綱を引っ張るのです。できる限り速やかに停止させるために。

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