知ってびっくり「祇園祭・豆知識」About Gion-Matsuri Festival, Kyoto
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祇園祭(ぎおんまつり)。八坂神社の祭り、7月1日から1ヶ月かけて行われる。京都三大祭りのひとつ、あるいは日本三大祭りのひとつ。 |
神社のお祭は全国に何千、何万とありますが、八坂神社の祇園祭は他とはちょっと違うところがあります。祇園祭のことは詳しくは知らない、というかたが祇園祭について色々調べていくと、知ってびっくりすることがたくさんあります。
写真は、祇園祭の締めくくり、7月31日の「疫神社夏越祭」の様子です。八坂神社の末社の1つ、疫神社で行われます。
写真は南観音山の組み立ての様子。代々受け継がれてきた構造材を釘を使わず荒縄だけで組み上げていきます。
写真は2012年7月14日、宵々々山です。このように四条通は車の通行が禁止され、人で埋め尽くされます。土日にぶつかれば観光客も加わり、人並みはさらに膨れ上がります。宵山見物は暑さと人との戦い(笑)。
巡行に参加する山鉾は全部で32基。これに「大船鉾」が2014年から加わり33基になりました。
写真は復興さなかの大船鉾。
祇園祭の山鉾は「動く美術館」と呼ばれています。美術館という表現は誇張でも何でもありません。
山鉾の周囲を飾る装飾品を「懸装品(けそうひん)」とよびますが、日本の伝統工芸の粋を集めたものだろうと誰もが思うでしょう。しかし、実は歴史的にびっくりするほど貴重な海外から渡ってきた美術品が使われているのです。(もちろん左甚五郎作のような日本の伝統美術品が大多数ですが。)
鯉山の懸装品を例にご紹介したいと思います。
鯉山を飾るのは「トロイア王プリアモスと王妃カペーの祈り」というタペストリーです。近年の調査によってTSEAというマークがあったことから、ベルギーのブリュッセルで、1580年から1620年ごろの間にニケイズ・アエルツという職工によって作られた5枚セットであることがわかったのです。
17世紀、支倉常長がローマ法王パウロ5世から伊達政宗への贈り物として5枚を持ち帰りました。2枚は加賀藩へ、3枚は京都に。そのうちの1枚がこれ。江戸時代の人達はどのような思いで異国の人たちが描かれた絵をながめたのでしょうね。
もとは大きなタペストリーですが、山を飾るため大小9つに裁断され加工されました。この中央部分は上の写真の右下につながります。左右の龍はあとで付けられたもの。(写真は復元品)
トロイ戦争を描いたホメロスの「イーリアス」を題材にした5枚セットのタペストリーは日本にしか残っておらず、重要文化財に指定されています。(こちらの写真はオリジナル)
鯉山以外にもモンゴル帝国やインドで制作されたものなど歴史的に貴重な品々が使われています。宵山期間中は各会所で間近に見学することが出来ます。
すべての山鉾は、それぞれの山鉾町によって守り引き継がれています。だから、山鉾の名称はそのまま町名になっています。写真は「木賊山町」。以前に南観音山で聞いた話ですが、祭りのリーダーともなれば生活は祇園祭最優先、祭りに完全参加できるところを選んで就職したとか。伝統文化を守っている人たちの覚悟と心意気に感銘を受けました。
各山鉾では宵山の期間中、山鉾町の人たちが総出で厄除けチマキや手ぬぐい、最近ではストラップなどの記念品を販売します。通行人に声をかけるのは小さな女の子たちの役目。これが大変可愛いのです。数え歌のように節を付けて呼びかけます。
船鉾のちまき売り。「♪ちまきどーですかー。ふねぼこのちまき、どーですかー、やくよけのちまき、どーですかー♪」
祇園祭山鉾巡行は応仁の乱以前より前祭・後祭の2回に分けて巡行していました。1966年からは一本化して行われることになりました。目的は交通規制の効率化だったようです。その後、祭りを本来の形に戻そうという機運から、2014年から前祭と後祭に分けて巡行することになりました。
そもそも山鉾巡行というのは神輿渡御の露払い役。神輿に八坂神社の御祭神を乗せて、17日に八坂神社から御旅所へ移動(神幸祭)、24日に御旅所から八坂神社(還幸祭)に戻ります。これに先立ち、それぞれの移動日の午前中に、山鉾によって移動ルートを露払いするのです。
山鉾のお囃子は「コンチキチン」で例えられ有名ですね。このお囃子は山鉾毎に異なり。各山鉾町の人達によって守り継がれています。これは南観音山。一応楽譜はありますが(写真 南観音山・お囃子説明会にて)これだけでは強弱、微妙なタイミングはわかりません。細かな情報は全て口伝えになります。
17日の山鉾巡行は祭りのハイライトですが、宵山は各山鉾にとってお囃子や出し物のリハーサルの機会でもあります。なかでも綾傘鉾と四条傘鉾の「棒振り」は間近で見物することが出来、迫力満点です。実演は一日数回ですので、事前にスケジュールを確認してから出かけて下さい。
綾傘鉾の棒振り。今日は素顔で棒を振っていますが、山鉾巡行の際は赤熊(しゃぐま)の衣装で行います。
四条傘鉾の棒振り
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