剱岳(つるぎだけ)、標高2,999m、北アルプスの立山連峰に位置する。山塊すべてが険しい岩稜と雪渓からなり、日本アルプスにおいては峻険な山の一つ。「岩と雪の殿堂」とも呼ばれる。日本百名山に選定。 |
行程
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平蔵谷から剱岳へ 写真集 その2
人生で2度目の剱岳登頂を目指した、これはその登山記です。初回(3年前)は前剱経由の一般ルートで登りましたが、同じ行程は芸がない。今回は平蔵谷雪渓を経由して山頂を目指しました。ピッケルとアイゼンを用いたはじめての雪渓登山への挑戦です。第一日目は剣山荘まで。第二日目に平蔵谷を登り、下山後、剣御前小屋も宿泊。第三日目は別山から大汝山、雄山を経由し、一の越からタンボ平に降り、黒部湖に下りるという、夜行2泊3日コースです。
<剣山荘から剱沢を下る>
今日は気を抜けない平蔵谷の登りです。気合を入れて5時40分の出発。最初は剱沢雪渓を下ります。
剱沢雪渓は日本三大雪渓の一つ。夏場の最上部は剱沢小屋(2.475m)、最下部は真砂沢(1,860m)、総延長はおよそ2,500m。剱岳と別山尾根に挟まれた谷はそれほど広くないので雪渓の幅も白馬大雪渓ほどは広くありません。中央に見える登山者と大きさを比較してください。
平蔵谷出会が見えてきました。剱沢雪渓と平蔵谷雪渓の合流点です。大きな岩が目印。
平蔵谷出会に至る手前にも剣に向かって登っていく雪渓がありました。平蔵谷と武蔵谷(たけぞうたん)の間にある、前剱に向かって伸びる雪渓ですね。
今歩いてきた雪渓を振り返りました。剱沢雪渓は標高差約600mを水平距離2,500mで降りていきますので、勾配は緩やか。アイゼン無しでも問題なく歩けますが、足元に気遣いなく歩くために軽アイゼン程度は装着したほうが無難でしょう。
平蔵谷出会に到着! 大きな岩が2つあります。
今降りてきた剱沢雪渓を振り返りました。
剱沢雪渓を下に向かって撮影。更に下に伸びています。3年前は最下端の真砂沢まで歩きました。
<平蔵谷を登る>
平蔵谷を見上げました。手が届きそうな距離感。「たった、これだけ?」と思われるでしょうが、最上部の「平蔵のコル(標高2,835m)」まで全長は2kmあります。この地点の標高はおよそ2,060mですので標高差は775mです。
平蔵谷(へいぞうたん)、名ガイド、佐伯平蔵氏の名を冠して1913年に命名されました。通年雪に覆われる剱岳の代表的な雪渓の一つ。本日、この雪渓を登る登山者は、1パーティーと単独行が数名のみ、、、のようですね。
平蔵谷の上半分をズーム撮影。最上部は一般登山ルート。前剱を越えてカニのタテバイに差し掛かるあたりです。
雪渓は原則、中央を登ります。端は雪庇があるかもしれないし落石のリスクも高いので。
雪渓の表面は思ったより固く、急勾配。転んだら三途の沢まで滑り落ちてしまう。
登る姿勢のまま、腰を180度回転してうしろを振り返ります。おお、急勾配! なお、こういう場所での休憩は、登る姿勢のまま固まって休憩します。もちろんザックはおろせません。手を離したら最下部まで滑り落ちてしまいます。
慎重に、一歩、一歩、踏み出します。
安全そうなところを見つけて雪渓から岩場に飛び移り、休憩です。登り始めて2時間半、初めて腰を下ろしました。平蔵のコルはすぐそこなんですけどね。
休憩しながら後続者をウォッチ。頑張ってください、あと一息。
引き続き雪渓を登ります。
少し余裕が出てきたので周囲を見回しました。ピークは前剱(2813m)かな。リッジ上に登山者1名。左下のピークは一服剱(2618m)、後方に見える尾根は別山。
半円形のピークは「平蔵の頭(へいぞうのずこ)」です。一般登山ルートはこの頭を乗り越えます。一名、登山者が見えています。
ついに、平蔵のコルに到着。雪渓の最上部です。出会から3.5時間かかりました。カニのタテバイを登ろうとする登山者が唖然として私の方を眺めています。「こんなところを登ってくるなんて。」
雪渓からコルの岩の上にストンと飛び降りました。やっと足が地についた! この稜線は剣山頂からの下り専用ルートです。右の建物は「平蔵の避難小屋」。(この避難小屋は1942年に建造。現在は廃絶し、かわりにトイレが建っています。)
<下山>
雪渓から岩の上に立った時点で疲れがどっと湧き上がってきました。肉体疲労というより緊張による精神的な疲れです。登っている間じゅう、気が休まる瞬間がありませんでしたから。
平蔵のコルから山頂まで標高差150m、1時間もかからないでしょうが。早々に劔山頂は断念し下山することに決定しました。3年前に登っているので、いいや。
一般道を下ります。コルから剣山荘まで1.5時間。さらに今日は剣御前小屋まで。ここから小屋までの写真はありません。
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